このページでは新電力会社を利用する際に想定されるデメリットやメリットをわかりやすくまとめて解説しています。
新電力会社への変更やプラン切り替えに不安のある方は、このページを参考にしてください。
南部修一 | 特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会 小売電気アドバイザー 認定 第1808005号 太陽光発電アドバイザー 認定 第1820021号 株式会社サウスフィールドプランニング 代表取締役 ※1974年生まれ 電力自由化、太陽光発電、再生可能エネルギー関連情報の広報を担当 |
電力自由化で電気代が安くなることは、私たち一般消費者にとってメリットしかないはずですが・・・
2016年の電力小売りの完全自由化以降、600社以上もの事業者が電気小売り事業に新規参入しているため、中にはデメリットしかないような事業者も存在します。
そういった事業者が一定数現れることは、自由社会では仕方ありません。
私たちはそういった事業者とは関わり合いにならないためにも、ある程度の知識を持っておく必要があります。
電力会社のメリット&デメリット比較表
区分 | 大手電力会社 (みなし小売電気事業者) | 新電力会社 (小売電気事業者) | ||
---|---|---|---|---|
災害や広域停電のサポート | どちらも同じ(違いなし) (※)各地域の一般送配電事業者が管轄・対応しています | |||
戸別の停電や電気トラブルサポート | 〇 | △ (※)電気トラブル駆けつけサポートが無料附帯している小売電気事業者であれば〇 (※)小売電気事業者によっては×のケースもあり | ||
電気料金のメリット&デメリット | 新電力の自由料金メニューと比較するとやや高い (※)自由化前の旧オール電化プランや深夜電力は安い | 大手電力の規制料金メニューと比較すると安い (※)旧オール電化プランや深夜電力よりも安いプランは無い(但し例外もあります) | ||
途中解約時の違約金 | 原則なし (※)ごく一部の新自由料金メニューでは解約違約金の設定あり | 一部の小売電気事業者や取次店では解約違約金の設定があります | ||
契約手数料 | なし | ごく一部の小売電気事業者や取次店で発生することがあります | ||
その他のメリット&デメリット | 電気料金の未払いがない限り、誰であっても電気契約を断られることはありません | 与信調査などの信用情報にキズがある人や、反社会的勢力は申し込みを断られることがあります |
停電や災害時の復旧対応はどうなる?
「電力会社を変更すると停電になりやすいのでは?」と不安に思われる方もいます。
しかしそういった心配は不要です。
電力会社(=小売電気事業者)を変更しても、電気の安定供給を担当する事業者(=一般送配電事業者)が変わるわけではありません。
どの小売電気事業者を選んでも、電気を安定供給するための体制はまったく同じです。
停電時の対応 | 災害時の復旧対応 |
---|---|
広域停電に関してはこれまでと同じ (一般送配電事業者が対応) | これまでと同じ (一般送配電事業者が対応) |
広域停電や災害時などの復旧対応などについては、新電力会社(=小売電気事業者)ではなく、国の認可事業者である一般送配電事業者(旧一般電気事業者)が管轄しています。
どの電力会社を選んでも、電気の安定供給に関する不都合やデメリットは一切ありません。
戸別の停電ではデメリットがあるケースも
広域停電ではなく、漏電などが原因で起こる各家庭ごとの停電に関しては、一般送配電事業者では対応してくれません。(電話相談などには応じてくれます)
そのため戸別の電気トラブルについては近所の電気屋さんや、契約している小売電気事業者に相談するのが一般的ですが、
ほとんどの新電力会社は平日9時~17時までしか電話はつながらない、そもそも電話サポートがないなど、戸別のトラブル対応サービスに関してはイマイチ期待できません。
ただし、電気トラブル駆けつけサポートなどが附帯している新電力会社を選ぶようにすれば、24時間365日いつでも無料サービスを利用できます。
電気トラブル駆けつけサポートが無料附帯している新電力会社には
エルピオでんき・ENEOSでんき・東京ガス・ソフトバンクでんき・ミツウロコでんき・Looopでんき(Looopは東京電力エリアのみ附帯)などがあります
電気料金に関するメリット&デメリット
これまで一度も電力会社を変更したことがない、従量電灯A・B・Cのいずれかの電灯契約を利用している方は
電力会社や料金プランを見直すことで、毎月の電気代は必ず安くなります。
また、従量電灯ABC以外の電灯契約メニューを利用している方も、
契約容量(A数またはKVA数)や契約電力(kW数)そして電力使用量(KWh数)によっては安くなる可能性があります。
電化住宅では乗り換えると損になることも
一般家庭向けの電力小売りが自由化された2016年4月以前からオール電化住宅向けのプラン(時間帯別料金メニューや深夜電力など)を契約している方は、
新電力会社に乗り換えると電気代は逆に高くなってしまうケースがほとんどです。
旧オール電化プランの切り替えはデメリットしかないと思っておいた方が良いでしょう。
今のところ旧オール電化プランよりも安価な電気料金プランのある新電力会社は
熊本電力とHTBエナジー、ナンワエナジーの3社くらいしかありません。
(※注)2020年12月時点
1人暮らしだと期待するほど安くはならない?
普段の電力使用量が少ない単身世帯などは、格安新電力に乗り換えても実際の電気料金はあまり変わりません。
新電力会社の格安プランは大手電力会社の従量電灯ABCよりも5%~20%以上安くなるものの、
元々の電気代が月額3,000円だとすれば仮に20%安くなったとしても、ひと月に600円、年間で見ても7,200円お得になる程度です。
なお、新電力会社の中には月々の電力使用量が少ないと、以前の電力会社より電気代が高くなってしまうところもあります。
電話営業や訪問販売、不動産会社などで紹介される新電力にそういったところが目立ちますので、なるべく関わらないようにしましょう。
そんなところと契約しても代理店や営業マンを喜ばせるだけで、あなたに大したメリットはないどころか損をすることもあります。
新電力会社選びは代理店や営業マン任せにはせずにインターネットで探しましょう。
WEB上には新規申し込みで1万円以上の限定特典がもらえる新電力会社も多く、単身世帯でも大きなメリットを得られる可能性があります。
解約違約金や手数料の有無を必ず確認しましょう
新電力会社の中には電気契約の解約時に500円~15,000円程の違約金を設定しているところもあります。
とくに通信事業系の企業が母体となる新電力は、そのほとんどが解約違約金を設定しています。
また、光通信事業系の新電力の中には解約違約金だけでなく、契約手数料やプラン変更手数料まで請求してくるところもあるため注意が必要です。
代理店の営業マンなどは自分の成績のために「解約違約金はない」とウソを伝えていたケースも見られますので十分に気をつけてください。
旧大手電力会社の解約違約金は?
大手電力会社の従量電灯A・B・Cなどの規制料金メニューには解約違約金の設定はありません。
ただし自由化後に登場した新しい料金メニューの中には解約違約金が設定されているものもあります。(例:東京電力EPのプレミアムプランや北陸電力の使っておとくライトなど)
申し込み時の契約手数料は?
新電力会社も大手電力会社も、どちらも契約手数料がかかるようなことはありません。
しかし、ハルエネでんき、j;com電力、オプテージ(eo電気)など、光通信事業系の企業が手掛ける新電力の中には、1回につき3,000円程の契約手数料やプラン切り替え手数料などを設定しているところがあります。
その他のデメリット
あまり知られていませんが、新電力会社に電気契約を申し込む場合、与信調査に問題がある人は申し込みを断られることがあります。
また、電気代の滞納があると比較的すぐに電気契約を解除されてしまうのも新電力会社の特徴です。未払いには気をつけましょう。
大手電力会社の場合は、滞納があっても連絡なしに契約解除されることはありません。
大手電力会社(=旧一般電気事業者)は国からの規制もあって、電気料金は新電力会社よりも高くはなりますが、
信用情報にキズのある人や、反社会的な人であっても電気契約を断られることはありません。
電力会社の変更は政府も推奨してるって本当?
電力自由化は主に電気料金の値上がりを抑制するための国の政策です。
政府は国民生活の向上のために新規参入を自由化し、市場競争を活発化させることで電気料金の値下げや新サービスの拡充を促しています。
ただ、一般的な値下がり幅は5%~10%程度ということもあり、乗り換えに魅力を感じない人や面倒に思う人も多いようです。
どの電気料金プランが良いかわからない方へ
変更が面倒というよりも新電力会社や電気料金プランが沢山あり過ぎて、どれを選べば良いのかわからない!という方も居ると思います。
そういった方は、まずは以下の3点を確認しましょう。
- 現在の電気契約メニュー名は?
(契約種別はオール電化プラン?それ以外?) - 電気契約の容量は?
(AまたはKVAまたはKWで表示されています) - 毎月の電力使用量(KWh数)はどれくらい?
上の3つを確認した上で当サイトのおすすめ情報を参考にすると、あなたの家庭に合った乗り換えプランも簡単に見つけることができます。
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おすすめの新電力会社や電気料金プランは、お住まいの地域(10電力エリア)や電気契約の種別によってまったく異なります。
そのためWEB上のおすすめ情報などは、ご自宅の電気設備や電気契約の内容をきちんと
一般家庭向けの電気契約は「60アンペア以下または6kVA未満の電灯契約」だけではありません。
「6kVA以上の電灯契約」を利用している家庭もあれば「深夜電力」をあわせて契約している家庭もあります。
またオール電化住宅向けの「時間帯別料金メニュー」や「季節別料金メニュー」を契約している家庭も、全体の10~15%ほどあると言われています。
インターネット検索で表示される電力会社のおすすめ情報は、電気契約の種別や容量、地域性などを考慮していないものがほとんどです。
Googleの検索エンジンはまだまだ発展途上ということもあり、広告報酬が高いところを順に並べているだけの不誠実なランキングが表示されていることもよくあります。
そういった情報はくれぐれも鵜呑みにしないよう気をつけましょう。
小売電気アドバイザー推薦!乗り換え参考情報
① オール電化プランの乗り換え参考情報南部修一 | 特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会 小売電気アドバイザー 認定 第1808005号 太陽光発電アドバイザー 認定 第1820021号 株式会社サウスフィールドプランニング 代表取締役 ※1974年生まれ 電力自由化、太陽光発電、再生可能エネルギー関連情報の広報を担当 |