このページではHISでんきのオール電化住宅向けプラン『ぜんぶでんき』の特徴やメリット・デメリットについて、各地域ごとに詳しく解説しています。
「HISでんき」はハウステンボス発祥のエネルギーマネジメント企業HTBエナジー(※)が運営する新電力サービスです。
(※)HTBエナジーは大手旅行会社HISのグループ企業の一つで、同グループのエネルギー関連事業を担っている新電力会社です
HISぜんぶでんきシリーズの特徴
オール電化住宅でなくても利用できる?
HISでんきの『ぜんぶでんき』シリーズはオール電化住宅に限らず、ハーフ電化住宅でも利用できます。
エコキュートや電気温水器(電気給湯機)が設置されている住宅であれば、ほぼ対象になると思って良いでしょう。
また、戸建てに限らず、賃貸物件でも問題なく利用できます。
ぜんぶでんきは本当に安い?
夜間時間の電力量単価は、大手電力会社の『旧オール電化プラン』と同額です。
そして昼間時間の単価は旧オール電化プランに比べて5%~15%ほど割安になることから、かなりお得なプランと言えるでしょう。
『旧オール電化プラン』とは
2016年4月の電力自由化前からある、大手電力会社のオール電化住宅向けプランを指します。
「旧オール電化プラン」は以下に案内する電気料金メニューが該当します。
- 東京電力EP株式会社電化上手・おとくなナイト8/10・ピークシフトプランなど
- 関西電力株式会社はぴeタイム(はぴeプラン)・時間帯別電灯・季時別電灯PSなど
- 中部電力ミライズ株式会社Eライフプラン・タイムプラン・ピークシフト電灯など
- 東北電力株式会社時間帯別電灯A・B・Cなど
- 九州電力株式会社季時別電灯・時間帯別電灯・ピークシフト電灯など
- 北海道電力株式会社時間帯別電灯(ドリーム8)・3時間帯別電灯(eタイム3)など
- 中国電力株式会社時間帯別電灯(エコノミーナイト)・ファミリータイムⅠ・Ⅱなど
- 四国電力株式会社季節別時間帯別電灯・時間帯別電灯・スマートeプランなど
- 北陸電力株式会社エルフナイト(8・10・10プラス)・エルフプランS・Vなど
夜間単価が格安でお得なプランですが、大手電力各社は2016年4月以降、旧オール電化プランの新規受付を中止しています。
そのため2016年の電力自由化以降は旧オール電化プランに申し込むことはできなくなり、
それよりも割高になる現行のオール電化プランを利用するしか選択肢はありませんでした。
しかし!
『ぜんぶでんき』の登場により、今では夜間単価が旧オール電化プランと同価格で、さらに昼間単価も割安な料金プランを選べるようになりました。
東京電力EP「スマートライフS/L」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき東京」 1kWhあたりの夜間単価 |
---|---|
17.78円 | 12.48円 (29.8%安) |
関西電力「はぴeタイムR」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき関西」 1kWhあたりの夜間単価 |
15.2円 | 10.7円 (29.6%安) |
中部電力ミライズ「スマートライフプラン」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき中部」 1kWhあたりの夜間単価 |
16.3円 | 13.7円 (15.9%安) |
東北電力「よりそう+ナイト10」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき東北」 1kWhあたりの夜間単価 |
11.43円 | 11.43円 (同額) |
九州電力「電化でナイト・セレクト」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき九州」 1kWhあたりの夜間単価 |
13.21円 | 11.89円 (10%安) |
中国電力「電化Styleコース」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき中国」 1kWhあたりの夜間単価 |
14.87円 | 12.6円 (15.2%安) |
四国電力「でんかeプラン」 1kWhあたりの夜間単価 | 「ぜんぶでんき四国」 1kWhあたりの夜間単価 |
19.48円 (電化割引の適用単価) | 11.24円 (42.2%安) |
ぜんぶでんき 3つのデメリット
圧倒的にお得に思える『ぜんぶでんき』ですが、以下に案内するデメリットもあります。
3つのデメリットって?
① ガス設備のある住宅では申し込み不可
都市ガスやプロパンガスなど、ガス給湯設備を設置している住宅では、ぜんぶでんきに申し込むことができません。
『ぜんぶでんき』の申し込み対象は”オール電化設備のある住宅”ですが、
HTBエナジーではオール電化住宅であるかどうかの判別を、エコキュートや電気温水器などの電気設備の有無ではなく、ガス設備の有無で判断しているようです。
ですからオール電化住宅であってもガス設備がある場合には、残念ながら『ぜんぶでんき』は利用できません。
② 解約違約金の設定がある
HTBエナジーの電気契約は1年未満で解約すると2,200円の解約違約金が発生します。(引っ越しなどの場合は免除)
契約から1年も経たずに他社に乗り換えると、せっかくの価格的メリットが台無しになりますので気をつけましょう。
③ 生活周りのサポートサービス付帯なし
ぜんぶでんきの3つめのデメリットとしては「電気のトラブル駆けつけサービス」などが付帯していないことが挙げられます。
HISでんきの「プライム」というプランには『あんしんサポート365』という生活周りのサポートサービスが無料付帯していますが、ぜんぶでんきシリーズには現時点では付帯していません。
今後のHISでんきのサービス拡大に期待しましょう。
各電力エリアごとの特徴と電気料金単価
『ぜんぶでんき』は以下の7つの電力エリアにお住まいの方が申し込み対象です。
電力エリアごとに料金体系や単価設定はまったく異なるため、各エリアに分けて詳しく解説します。
ぜんぶでんき東京の特徴(東京電力エリア)
「ぜんぶでんき東京」は2020年3月にリリース、同年7月にリニューアルされたHTBエナジーのオール電化住宅向けプランです。
当初の価格メリットは大したことはありませんでしたが、7月のリニューアル後は東京電力の旧オール電化プランよりも安価なプランとして注目を集めています。
乗り換え対象プラン
現在、東京電力エナジーパートナー(TEPCO)の「電化上手」「おトクなナイト8・10」「スマートライフS/L」を利用している方は、ぜんぶでんき東京に切り替えることで電気代を削減できる可能性があります。
とくにスマートライフS/Lの場合は、昼間の電力使用量が少ない方ほど、ぜんぶでんき東京への切り替えメリットが大きくなります。
ただし、夏季(7月1日から9月末日)の昼間時間(10時~17時)の電力量単価だけは、スマートライフSLよりも大幅に高くなるためご注意ください。
夏季の昼間時間は節電を特に意識するようにするか、もしくは対策として太陽光発電システム等の導入をお勧めします。
電気料金単価の比較
「ぜんぶでんき東京」の料金単価の詳細と東電EP各プランとの比較結果は、以下のページでも分かりやすく解説しています。
ぜんぶでんき関西の特徴(関西電力エリア)
「ぜんぶでんき関西」は2020年8月にリリースされたHTBエナジーのオール電化住宅向けプランです。
関西電力の「はぴeタイム」と同じようなプラン内容で、ナイトタイムの単価は同額(10.7円/kWh)、それ以外の電力量単価は10%割安に設定されています。
また、ぜんぶでんき関西はブレーカー契約ではなくスマート契約になるため、日頃の電気の使い方次第で基本料金を安く抑えることもできます。
乗り換え対象プラン
現在、関西電力の「はぴeタイム」または「はぴeタイムR」を利用している方は、ぜんぶでんき関西に切り替えることで電気代を削減できる可能性があります。
ただし、ぜんぶでんき関西には「はぴeプラン」のようなオール電化住宅割引はありません。
2016年3月以前から「はぴeタイム」を契約されている家庭では、ぜんぶでんき関西に切り替えると損になるケースもありますのでご注意ください。
電気料金単価の比較
「ぜんぶでんき関西」の料金単価の詳細と関西電力各プランとの比較結果は、以下のページで確認できます。
ぜんぶでんき中部の特徴(中部電力エリア)
「ぜんぶでんき中部」は2020年8月にリリースされたHTBエナジーのオール電化住宅向けプランです。
中部電力ミライズの「Eライフプラン」と同じようなプラン内容で、
ナイトタイムの単価はEライフプランと同額(13.7円/kWh)、それ以外の電力量単価はどれも10%割安に設定されています。
また、ぜんぶでんき中部はブレーカー契約ではなくスマート契約になるため、日頃の電気の使い方次第で基本料金を安く抑えることもできます。
乗り換え対象プラン
現在、中部電力ミライズの「Eライフプラン」または「スマートライフプラン」を利用している方は、ぜんぶでんき中部に切り替えることで電気代を削減できる可能性があります。
ただし「タイムプラン」や「ピークシフト電灯」からの乗り換えメリットはあまりありません。
HTBエナジーには「全電化住宅割引」や「蓄熱機器割引」などの割引はないため、「Eライフプラン」で複数の割引が適用されているご家庭も、乗り換え検討の必要はありません。
電気料金単価の比較
「ぜんぶでんき中部」の料金単価の詳細と、中部電力ミライズ各プランとの比較結果は、以下のページでわかりやすく解説しています。
ぜんぶでんき東北の特徴(東北電力エリア)
HISでんきの「ぜんぶでんき東北」は、東北電力の「よりそう+シーズン&タイム」と同じようなプラン内容で、
夜間単価とオフピーク単価は東北電力と同額、それ以外の電力量単価は5%割安になります。
さらに基本料金も割安に設定されており、ぜんぶでんき東北はスマート契約になることから、日頃の電気の使い方次第では基本料金を安く抑えることもできます。
乗り換え対象プラン
現在、東北電力の「よりそう+シーズン&タイム」を利用している方は、ぜんぶでんき東北に切り替えることで電気代の削減が期待できます。
ただし東北電力の「時間帯別電灯A・B・S」や「よりそう+ナイト8・10・12・S」などと比べると「ぜんぶでんき東北」の電気料金単価は安くはありません。
東北電力エリアではオール電化住宅にお住まいの方にとって「ぜんぶでんき東北」への乗り換えメリットはほとんどないのが実際のところです。
電気料金単価の比較
「ぜんぶでんき東北」と「よりそう+シーズン&タイム」の料金単価の比較結果は、以下のページでもわかりやすく解説しています。
ぜんぶでんき九州の特徴(九州電力エリア)
「ぜんぶでんき九州」は九州電力の「季時別電灯」と同じようなプラン内容で、
ナイトタイムの単価は季時別電灯と同額(11.89円/kWh)、それ以外の電力量単価は5%割安に設定されています。
ぜんぶでんき九州はブレーカー契約ではなくスマート契約になりますが、季時別電灯よりも基本料金が割高に設定されているところにご注意ください。
乗り換え対象プラン
九州電力のオール電化住宅向けプランには「季時別電灯」「時間帯別電灯」「電化でナイト・セレクト」などがありますが、「ぜんぶでんき九州」はそれらと比べて価格的なメリットはほとんどありません。
よりお得なオール電化プランには、熊本電力の「オール電化A・B・C」がありますので、そちらへの乗り換え検討をオススメします。
九州電力各プランとHISでんきや熊本電力との料金単価の比較結果は、以下のページでわかりやすく解説していますので参考にしてください。
ぜんぶでんき中国の特徴(中国電力エリア)
「ぜんぶでんき中国」は2020年9月にリリースされたHTBエナジーのオール電化住宅向けプランです。
中国電力の「ファミリータイム プランⅠ」と似ていますが、
ナイトタイムの電力量単価は5%割安(12.6円/kWh)に、それ以外の時間帯の単価は15%割安に設定されています。
ただしぜんぶでんき中国には、ファミリータイムプランⅠのような電化割引(基本料金と従量料金が10%割引)はありません。
そのため実際に支払うことになる電気代はどちらもほぼ変わらないことが予想されます。
なお、ぜんぶでんき中国はブレーカー契約ではなくスマート契約になるため、日頃の電気の使い方次第では基本料金を安く抑えることができます。
乗り換え対象プラン
現在、中国電力の「ファミリータイム プランⅡ」を契約電力5kW以下で利用している方は、ぜんぶでんき中国に切り替えることで電気代を削減できる可能性があります。
(プランⅠの方はほぼ変わらないか、高くなる可能性もあります)
中国電力の「時間帯別電灯(エコノミーナイト)」を利用している方は「ぜんぶでんき中国」に乗り換えるメリットはありません。
中国電力の「電化Styleコース」の場合は、平日と土日祝日の単価設定がまったく異なるため、どちらの方がお得になるかは生活スタイルに大きく影響されます。
ぜんぶでんき中国の料金単価を電化styleコースと比べてみると、23時~翌8時は15.2%安くなり、平日の9時~21時も23.5%~28%安くなります。
(夏季は15.8%~32.5%安くなります)
ただし、平日の8時~9時と21時~23時と、土日祝日の8時~23時の単価は、電化styleコースよりも48.3%~57.4%高くなります。
(夏季は48.3%~85%高くなります)
「ぜんぶでんき中国」の料金単価の詳細と、中国電力各プランとの比較結果は、以下のページでも分かりやすく解説しています。
ぜんぶでんき四国の特徴(四国電力エリア)
「ぜんぶでんき四国」は2020年9月にリリースされたHTBエナジーのオール電化住宅向けプランです。
四国電力の「季節別時間帯別電灯」と同じようなプラン内容で、夜間単価は同額(11.24円/kWh)、昼間単価(7時〜23時)は10%割安に設定されています。
ただし、HTBエナジーには四国電力のような蓄熱式機器割引や全電化住宅割引はありません。
そのため実際に支払うことになる電気代は、HISでんきの方が高くなることが予想されます。
乗り換え対象プラン
四国電力のオール電化住宅向けプランには
・季節別時間帯別電灯
・時間帯別電灯
・ピークシフト型時間帯別電灯
・スマートeプラン タイプL+
・スマートeプラン タイプH
・でんかeプラン
・でんかeマンションプラン
などがあります。
上記プランの中で「スマートeプラン タイプH」と「でんかeプラン」については、「ぜんぶでんき四国」に乗り換えることで電気代がお得になる可能性があります。
(単価だけでなく時間設定も各プランで異なるため、必ずしも安くなるとは限りません)
電気料金単価の比較
四国電力各プランと「ぜんぶでんき四国」の料金単価の詳細と比較結果は、以下のページでわかりやすく解説しています。
東京ガスの電気 | エルピオでんき | シン・エナジー | あしたでんき |
Looopでんき | 熊本電力 | ピタでん | HISでんき |
オール電化向け新電力会社 一覧 | 地域別おすすめ新電力会社 一覧 |
南部修一 | 特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会 小売電気アドバイザー 認定 第1808005号 太陽光発電アドバイザー 認定 第1820021号 株式会社サウスフィールドプランニング 代表取締役 ※1974年生まれ 電力自由化、太陽光発電、再生可能エネルギー関連情報の広報を担当 |