電気ガス Q&A

2023年の燃料費調整額の単価推移をどう予測しますか?

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電力会社の燃料費調整単価は今後どのように推移していくのでしょうか?
数年前のような水準にまで値下がりすることは考えられますか?
この記事の監修担当
SFP

新エネルギーメディア事業部 編集班
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当サイトの回答

10年スパンの長期的な視点の場合

電気を作る燃料となる天然ガスや石油・石炭の輸入価格は、中長期的には上昇し続けることが想定されています。
(この後に資料を紹介しています)
ですから長い目で見れば燃料費調整額の単価(ゆるや)やかにプラス調整(つまり値上げ)に(かたむ)くでしょう。
短期的にマイナス調整になる月や時期はあっても、世界規模でよほどのことが起きない限り、2020年中旬から2021年初旬の水準にまで下がることはないと思われます。

向こう1年ほどの短期的な視点ではどうなる?

ある月の燃料費調整額は3~5か月前の燃料価格を反映しているため、1~3ヶ月先までのごく近い将来であれば予測がつきますが・・・
しかし半年から1年ほど先の予測となると難しくなります。
なぜなら天然ガスや石油・石炭の価格は投機の対象でもあり、ロシアvsウクライナ戦争やグリーン政策などの社会情勢はもちろん、各国の人々の感情・憶測などにも左右されるからです。
この記事を書いている時点(2023年1月29日現在)で、天然ガスの先物取引価格は大きく下落し、原油価格も昨年の高騰(130ドル/1バレル)から80ドル前後で落ち着きを見せています。
また、2022年10月には1ドル150円を突破した円安相場も今は130円を切っていることから、燃料費調整額も少なくとも夏前までは全国的に値下げ調整が続くと思われます。
2023年1月29日の円相場は1ドル129.88円を示すグラフ
それと北海道・東北・北陸・東京・中国・四国・沖縄の7エリアの大手電力会社では今年4月から6月にかけて料金プランの大幅な価格改定があり、その際に各社の燃料費調整単価は0円ベースにリセットされます。
そのため大手電力7社の燃料費調整単価は、見かけ上は大きく下落するカタチにもなるでしょう。

燃料費調整額の変動予測とその理由

日本の電力はその70%以上を”火力発電”でまかなっています。

2019年度の日本の電源構成を見ると天然ガスと石炭だけで69%を占めており、そのほぼ100%を輸入に頼っています。
このことから燃料費調整制度による単価変動は、天然ガスと石炭の輸入価格に大きく左右されていることが分かります。
そこで天然ガスと石炭の輸入価格の推移を見てみましょう。

天然ガスの価格推移表

(※)オレンジ色のグラフが日本の輸入価格です
日本の天然ガス輸入価格は2020年の夏から秋にかけて、新型コロナウイルス蔓延の影響で値下がりしましたが・・・
2021年の夏には前年同期とほぼ同じ水準に戻り、2022年以降はロシアのウクライナ侵攻による悪影響で前年の倍以上にまで値上がりしています。

石炭の価格推移表

石炭価格の推移表
上記画像データは 一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」より引用
石炭の輸入価格も2018年夏から2020年夏までは下落傾向にあったものの、2020年冬には一転して高騰が続いています。
天然ガスと石炭どちらも2021年以降は大幅な値上がりを見せているわけですが、これが今後どのように推移していくか?
1~2年程度の短期的なスパンでは判断がつきません。
ただし10年スパンでの長期的な予測であれば、各国ごとに複数のシナリオが想定されています。

2040年までの予測シナリオ

下の画像データは2040年までの天然ガス価格の見通しを示したものです。

天然ガス価格の予測シナリオ

天然ガスの価格推移の予測シナリオ
上記画像データは 一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」より引用

日本、アメリカ、ヨーロッパそれぞれに複数の予測シナリオがあるため、ちょと分かりづらいかもしれませんが、、、
各国とも450シナリオ(※)以外は2040年まですべて価格上昇を想定しています。

(※)450シナリオとはCo2などの温室効果ガスの大気中濃度を450ppm以下に抑えることを想定したシナリオです

また、石炭価格や原油価格についても、やはり450シナリオ以外は2030年以降も価格上昇を見込んでいます。

石炭価格の予測シナリオ

石炭価格の推移の予測シナリオ

原油価格の予測シナリオ

原油価格の推移の予測シナリオ
上記画像データは 一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」より引用
天然ガス・石炭・原油は2020年の価格を基準にすると、2030年まではいずれも価格上昇が想定されています。
日本は2030年までに火力発電の割合を40%程度にまで引き下げる目標を立ててはいるものの、それまで燃料費がプラス調整(=値上がり)に向かうことはもはや必然とも言えるでしょう。
【参考】燃料費調整制度とは
これまでの質問&回答の一覧はこちら
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